宇都宮フライト顛末記です。お楽しみに。 早朝6時に鬼怒川河川敷に着いたときは濃い霧が発生していました。 ここは300m四方の多目的運動広場で右に野球場、サッカースペースと続いています。 広い整備されたグリーンの絨毯の上で飛ばすのです。左は広大な空き地です。 前方、500mを鬼怒川が右から左に流れています。とてもうらやましい環境ですね。
■霧中で夢中 霧が多少薄らいだので杉さんの自作機が4サイクルエンジンの軽快な音と共に 舞い上がりました。製作してから2回目の飛行です。 この機体にFS26サーパスエンジンはオーバーパワーなので中スロー飛行です。 心地よい音で周回飛行したのち機体は左の空き地のず〜と遠くに飛び去ります。 ところが、そのうち回頭するだろうと思って見ていたら、戻ってきません。(^_^; 杉さんは「霧で見えなくなって方向が解らないよ〜」と言っています。 ワーワー言っているうちに左に旋回しましたが、そのまま木立の影に吸い込まれ、 再びこちらには飛んできませんでした。距離は数100mあるでしょう。(;_;) 車で近くまで行きましたが背丈を越える雑草が生い茂り20m近い立木があるところです。 近くを歩いて探しましたが機体は見つからず回収は海岸の1粒の砂粒を見つける ようなもので無理かもしれないと思いました。 ところが機体が全く見えなかったのに回収できたのです。(^-^) 種明かしをすると杉さんが送信機のスティックを動かして、サーボが作動する 微弱な音で不時着場所を検知したのです。 「オ〜イ、この近くで音がするよ〜」との声で近くまで行き両手を耳にかざして 聞くと微かに虫の声のような、それらしい音が雑草の生い茂る丘の向こうで 聞こえるような気がしました。 二人ともアマチュア無線を長くやっていたので雑音の中から微かな変調(音声)を 聞き取る訓練らしきことを知らないうちに修練していたんですね。 こんなところで役に立つとは思いませんでした。 丘の向こう側に通じる農道があったので自分のワンボックスカーに乗って 移動しました。ここでは移動はすべて車です。とにかく広いんです。 農道は狭く轍を慎重にトレースして前進します。左側は畑です。 目印にした立ち木の近くで停車して歩いて目指す雑草の丘に登りました。 今度はサーボの作動音がハッキリ聞き取れます。しかし、機体はまったく 見えません。自分は長ズボンをはいていたのは正解でした。 これで胸を越す雑草をかき分けて進みます。 やがて草むらに突っ込んでいる機体の垂直尾翼が見えました。 「あったぞーやったね」機体は無傷で回収できました。 このような場所で見つけられるとは奇跡に近いことと思いました。 この後も魔のトライアングルで苦しむとは知るよしもない2人でした。 機体を回収できて大喜びの2人でしたが、この後、大変なことになりました。(;_;) 来るときに通った農道は狭く長い距離ですがバックして戻るしかありません。 杉さんが「降りて誘導しましょう」と言ってくれたのに、 自分は「大丈夫ですよ」と言って、ゆっくりバックしました。 大昔に真似事でラリー仕様車で山道を猛スピードで駆け抜けた頃を思うと、 こんなのは朝飯前と思ったのが不覚でした。 顔を逆撫でする小枝や葉っぱに思わず顔をそむけた時に後輪が農道を外れて 里芋畑に落ちてしまったのです。車は大きく傾いてしまいました。 自分は苦笑いしながらも、この時は、まだ何とかなると思っていました。 オートマのセレクタをセカンドに入れ、ゆっくりアクセルを吹かして前進します。 ところが、この車はFR(後輪駆動)車です。落ち込んだ左後車輪は、どろどろの 畑への傾斜地、右後車輪は朝露で濡れた草の上で、しかも浮いています。 タイヤが空しく空回りするだけです。毛布を入れたり杉さんがバンパーに 乗って荷重をかけても脱出することはできませんでした。 FF(前輪駆動)車はその点、雪道も含め強いのですがFR車は弱いです。(;_;) あきらめて先程、河原で見かけた四輪駆動車に牽引してもらうしかないと 判断して河原までトボトボ歩きました。 2ともヤブ蚊に、いっぱい刺されました。 この時点で、まだ自分は1回も飛行機を飛ばしていないんです。(^_^; 四輪駆動車の脇で話している一見、気難しそうな感じの2人連れに話しかけました。 脱輪して立ち往生してしまったこと。四輪駆動車で助けて欲しいこと。 すると、だいたいの場所を聞いただけで2台とも、すっ飛んでいきました。 こちら飛行機野郎の2人は徒歩で遠い現場に向かいます。 乗せて欲しかった〜でも言えませんでした。(^_^; 現場に着くと既に車に牽引ロープがつないであり準備完了状態で待っていました。 「ギヤはニュートラルが良いんですか?」と聞いたら 「エンジンをかけてニュートラルにしてくれ」と言われました。 後ろ向きに引っ張ってもらう事になります。 そして、あっけなく車を農道に引き戻してくれました。 お礼を言ったら「お互い様だから」と笑っています。感謝です。m(_ _)m 杉さんが、なけなしの新品のウーロン茶のペットボトルを「気持ちばかりですが」 と言って差し出しても遠慮して、なかなか受け取らなかったそうです。 気難しいどころか、とても優しい人達だったのです。 顔で判断してはいけないですね。 この後、もっと大変なことが起こるとは予想だにしていない2人でした。(^_^; 無事に広場に帰り着いて、やっとフライト準備にとりかかりました。 そのころには霧も晴れて強い日差しの中、電動スカイコアラのフライト準備を しているとMさんがマジェスタに乗ってやってきました。 ラジコン飛行機を始めて間もないのに相当上達しているとのことです。 いきなりアサミでチェコ製グライダーやフタバFF8Aプロポ一式を買い、 軽量メカ(受信機・ウルトラマイクロサーボ)を買った人です。 成る程、チェコ製とロッキーの2機のグライダーを、それぞれショックコードで 引っ張り、初心者とは思えない飛びをしたのです。 自分の電動スカイコアラも、やっと飛ばせました。(^-^) サーマルが発生しているようですが超スローパスが面白くて 目線より下で繰り返し飛ばして楽しみました。 自分が1回飛ばしたところでアクシデントが発生したのです。(@_@) Mさんが高い木立の梢に高価なチェコ製グライダーを引っかけたというのです。 20m近い木に引っかかっている機体を見た時、回収は無理だと思いました。 木は枝が細く、よじ登るには不向きな木です。とにかく高すぎるんです。 当然、自分のフライトより仲間の飛行機の回収が最優先です。(きっぱり) 先程の事(脱輪トラブル)があるので今度は歩いて現場にいきました。 何と!現場は前回の2回のアクシデントがあったすぐ近くの立木でした。 魔の三角地帯(トライアングル)ですね! 畑側から観察すると20m程の高さの梢に尾翼が引っかかってぶら下がって 取ってくれといわんばかりです。ショックコードの先に重りをつけて 手で投げ上げても1/3も飛ばず、とても届きまん。 グルグル回して投げても全く届きません。 長い投げ釣り竿を使えば少しは、ましだろうと思いましたが、 まだ9時半なので買おうにも釣り道具屋は開いていません。 仕方がないので時間待ちとして電動スカイコアラを3回フライトして 時間をつぶしていました。 杉さんの息子のルアー竿で試すこととなり、お宅に寄って竿を借りてきました。 DYI店で塩ビ菅(2m)を4本買いましたが、現場に着いて確認したら4本をつないでも 長さが足らず、2〜3倍は塩ビ菅が必要なことがわかりました。 しかも買ってきた塩ビ菅も猛暑でフニャフニャとなって肝心な時に役に立ちません。 結局、ルアー竿でトライするしかないということで杉さんが手首のスナップを 効かせて投げてみると結構、近くまで飛びます。 自分もトライしたけど駄目ポ...._| ̄|○ 炎天下、杉さんの力投が繰り返されます。 小1時間も経った頃、機体のすぐ上の枝に絡まり機体が落ちてきました。 杉さん、ご苦労様でした。m(_ _)m 自分は木陰でウーロン茶を飲みながら声援していたのですから 我ながら実に情けないです。(^_^; 結局、この日は朝1時半に横浜を出発して宇都宮へ日帰りドライブして 飛ばせたのは4回でした。でも、素晴らしい環境のもと無風状態で飛ばせたこと。 この後は喜連川温泉に浸かって仮眠して羽をのばせたのです。 いろいろあったけど、楽しくて思い出深いフライトでした。 この記事を笑って読んでいたRC仲間のAさんもその後、この魔のトライアングル の犠牲者となり「あそこには何かある」と言っていたことを付け加えます。 真下から見上げて撮影したので高く感じられないのですが20mは越しています。 この日は何とアクシデントが多い日だったのでしょう、まだ続きがあったのです。 そのアクシデントとは帰路の大雨によるアクシデントでした。(;_;) 大雨というより豪雨という表現がふさわしい感じでした。 杉さんは「この時節は夕立で毎日こんなもんです」と言っていましたが、 それにしても降りかたが半端ではありません。道路が浸水した状態で走ると モーターボートみたいで子供は喜びますね。でも、そんなもんじゃないんです。 運転している自分は不安になりました。 道路が川のようになっています。ほとんど床下浸水状態です。 そのうちに杉さんも「これはいつもの夕立ではありません」と言ったのです。 メイン道路は大渋滞です。水深がありそうな道路を避けて回り道をしたけど、 どこも大渋滞です。 ある場所は、くぼんでいるらしくて付近の住民が興味しんしんで見物する中、 決死の思いで深い水の中を突破するのです。 途中で止まったらマフラーから水が入りエンストします。 ギャラリーの思うつぼです。(^_^; 自分の車は何とか渡ったと思ったら左前輪あたりで「ガガガ」と音がして 道路の端に寄ろうとしても動けないのです。 あと一歩で渡り切れなくなっちゃいました。 杉さんが車外にでて車の下を手探りで確認したら外れた段差プレートが 流されて引っかかっていたので、やっと取り除いてもらいました。 なんせ12万キロオーバーの車ですので自分は車軸が折れたのかと心配しました。 とんだ、おまけ付きの宇都宮ハプニングフライトでした。